昨年11月に行われたイベントの様子を、主催団体である「イギリス文化に親しむ会」会員の斎藤 好美さんがレポートしてくださいました。
藤沢で40年の伝統を誇る「イギリス文化に親しむ会」11月の例会(11/16)には、前回大好評を博した太田雅一先生に引き続き、クローディア先生をお迎えいたしました。会場は終始なごやかな空気に包まれ、皆様が自然に打ち解け、笑顔あふれる温かな時間となりました。
当日は、クローディア先生が「英国のエンターテイメントの魅力」やご自身の体験をもとに、「幸せに生きる知恵」をテーマとして、心に残るお話をしてくださいました。以下に、特に印象深かった内容をご紹介いたします。
英国との出会い
クローディア先生は10代の頃、スイスにおいて、英国の家庭に滞在しながら英語を学ぶ「オーペア制度」を利用し、夏休みをイギリスで過ごされたそうです。滞在先は、ドラマ『ダウントン・アビー』を彷彿とさせる、バトラーのいる貴族のお屋敷でした。そこで、
・一階と地下とで明確に分かれた身分の違いによる生活空間があること
・貴族のスポーツである乗馬やポロを楽しむ姿を目にしたこと
・狩猟によって捕られたウサギ料理が食卓に並び、驚かれたこと
など、貴族社会ならではの体験を、ユーモアを交えて語ってくださいました。なお、オーペア制度を利用した会員の方も出席しており、今日この話を聞けて本当に懐かしく感激したと言われた。
私自身も、かつてご縁をいただき「ロイヤル・アスコット」へお連れいただいた経験がございます。上流階級の世界では「馬に乗れないこと」は一流と見なされないということ、また馬は人の心を映す鏡であり、馬を通して心を養う教育がなされていること、騎士道精神に基づき「力で抑えない」「恐怖で支配しない」姿勢を学ぶことなどを教わりました。
その場で、美しい帽子と正装に身を包んだ紳士淑女たちが、心から馬を愛し、競馬を楽しむ姿を目の当たりにし、英国文化の奥深さを実感いたしました。
また、クローディア先生は、イギリス滞在中に貴族の御主人からミュージカルや演劇にも触れ、その魅力に目覚められたというお話も印象的でした。
日本との出会い
クローディア先生のご実家は、祖父の代より続くアンティーク商でいらっしゃいます。スイスは永世中立国であるため、かつてはロシアから亡命された方々が多く訪れ、イコンや宝飾品など、貴重な文化遺産に囲まれて育たれたそうです。
その中に日本の「根付」と出会われたことをきっかけに、日本に興味を抱かれ、日本語を学ぶために来日されました。たまたま日本で英語で劇をし、英会話を教えているグループMLSを知り、イギリス滞在中に見た劇に感激したのを思いだし、直ぐに飛び込んで今があるとのことでした。何げない出会いが人生を大きく導く不思議さと尊さを感じました。
私自身も、学生時代にMLSと出会わなければ「ドラマメソッド」の魅力を知ることなく、高校教員として型通りの授業を続けていたかもしれません。クローディア先生のお話に、深く共感いたしました。
英国の劇団との交流
イギリスはまさに「エンターテイメント社会」であり、演劇が教育と人生の中心にある国です。
シェイクスピアの故郷、ストラットフォード・アポン・エイボン近郊の地元劇団「プレイボックス・シアター」(MLSと姉妹団体関係)との交流についてもお話しいただきました。同劇団は地域との深い結びつきを大切にしながら、演劇を通して人々の心を豊かにしているそうです。
去年7月には、その劇団の皆様が来日し、皆様には前回のジュニアタイムスでご報告いたしましたが、群馬の古民家に宿泊し、五右衛門風呂を体験されたこと、中学高校に合計4日間通い指導、生徒たちと劇を通して心の交流を深めたことなど、貴重な体験談をお聞かせくださいました。
また、イギリス文化に親しむ会の会員の方と鎌倉や江ノ島を訪ねられ、海のない土地から来られた劇団の皆様が、海を見て感動されたお話も心に残りました。
私もご到着後に「はとバス英語ツアー」にご一緒させていただき、皇居・浅草・東京タワーなどを巡り、東京の魅力を改めて発見する機会をいただきました。皆様の温かいお人柄と、高い人間性に触れ、そのような方々が演じる舞台は、必ずや人の心に響くものであると確信いたしました。
MLSドラマメソッドの体験
最後に、皆様にはMLSドラマメソッドを体験していただきました。
教科書の朗読では心に残らない英語も、頭・身体・心を使うことで、個性が輝き、生き生きとした表現となります。”Here you are!” “Thank you.”という簡単な表現ですが、渡す物、時、所、誰によっていろいろな言い方が生まれ、皆様それぞれが創造的に表現され、私は見ていて胸が熱くなりました。
いつもは英語でご指導されているクローディア先生が、日本語で一時間以上にわたり、皆様の心の扉を開くように丁寧に語ってくださったことに、心より感謝申し上げます。
おわりに
AIの時代となり、知識はAIが担うようになる今こそ、自分らしさ、個性、創造性、表現力を育むドラマメソッドは、ますます不可欠なものになると感じております。
「イギリス文化に親しむ会」会員
元県立高校教諭/芸術・文化・人間教育 研究家
斉藤 好美


